ヒトツバタゴ


吉野さん電車通勤だったのぉーーー!?


4年間全く気付かなかった…


そりゃ毎日橘に隔離されてひたすらに橘の締めるネクタイに光る波形のピンばかり見てたから気付くはずもないんだけど…


ここ1ヶ月は見えるのはひたすらに橘の肩だったし…



ていうか、あの密着具合を見られてたってこと!?




1人脳内でジタバタと悶絶し、逃れられない追及に白旗を振り先月のしつこいナンパからの説明をした



朝の電車での距離が近くなったからと言って、私と橘の関係は今でも『腐れ縁の友人』に変わりない





全てを話し終えると目の前でヒソヒソと話し始める2人


「橘さんやっと動き始めたのにさつきちゃん全く気付いてない感じ?」

「変わらず腐れ縁の友人て言ってましたもんね」

「そもそも自分の気持ちも気付いてないよね」

「そうですね」



ヒソヒソ話してるのに丸聞こえなんですけどー




「あ、あの…私の気持ちって…」


橘は友人…ですよね?




「さつきちゃん」


杏さんがこちらに向き直る


「例えばの話なんだけど、毎朝電車で周りの人達から守ってくれるのが大也くんだったらどう思う?」




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