ヒトツバタゴ


インスタントのコーヒーを手にテーブルに向かい合って座る



背が小さくて可愛らしい香澄さんは兄とは大学の時の同期生で1年の時から付き合っていて、当時から家にもよく遊びに来ていた


ふんわりとした雰囲気で優しいのにハッキリと物を言う香澄さんは中学生だった頃の私には憧れの存在だった



乾いたサンドイッチを頬張りながら、香澄さんから最近の甥っ子や家族の話を聞く


甥っ子の健(たける)は前回会った時よりもしっかりと走り、話す言葉も増え成長したなぁとしみじみと感じていた





ゆっくりと食べ、お喋りに花を咲かせコーヒーを飲み、甥っ子が起きたら公園でも行こうかと思い、身支度を整える


と言っても誰かに会うわけではないので、化粧は適当だし、服はスキニーデニムにTシャツにカーディガンでいいかとクローゼットから取り出す




自室で着替えているとピンポーンとインターホンが鳴った




はーいと言いながら玄関に向かっただろう香澄さんに続き、ドタドタと走る音も聞こえたので健も起きたのだと知る




「あらぁ」と香澄さんの声が下から聞こえる



「こんにちは、橘と申しますがさつきさんはいらっしゃいますか?」


と続けて聞こえ、一瞬固まる



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