ヒトツバタゴ
〜懐かしい気持ちと新しい気持ちと〜
母校の高校まではこの時期なら歩いて10分くらい。冬になると雪が積もり足下に気をつけながら歩くので10分では辿り着けない
橘と並んで懐かしい通学路にしていた道を歩く
桜もちょうど咲いてきていて町を彩っている
日当たりのいい高校の敷地内の桜はきっと満開だ
そう言えば前に女子会で杏さんが言ってたナンジャモンジャは今頃咲いているのかしら
GW頃って言っていたからきっと綺麗な白い花を咲かせているかもしれない
橘と歩く時はあまり会話はない
毎日のように顔を合わせてるし、仕事の状況も把握してるから話すこともないんだけど
話すのは、たまに目に付いたものや、面白い話がある時くらい
そのペースすらも心地いいんだと気付く
「武ちゃんまだいるかなぁ」
高校まであと少しのところでやっと口を開く橘
武ちゃんは3年の時の担任の武田先生で、生徒想いでちょっと熱い化学の先生。ラグビー部の顧問をしてて授業中に眠る大也がよく怒られてたな
「いるといいわね」
私も久しぶりに会いたい
通用門から入り、許可証を貰うため職員室の横の事務員室で訪問者記録表を橘が2人分まとめて書く
「あれ?今日大也来てる」
訪問者記録表の上の欄に大也の名前があることを発見したらしい
「大也も帰ってきてたのね」
大也は今やかなり有名人だから帰ってくる度に呼ばれるって前に言ってたっけ