ヒトツバタゴ


「さつきちゃんなら今着替えてるからもう下りてくると思うけど…」


さつきのお義姉さんと思われる小柄の女性が目を向けた玄関からすぐの階段に目をやるとすぐにさつきが出てきた



階段を下りてくるさつきを高校へ誘うと下りてきたさつきの前に立ちはだかり「だめー」と俺を睨みつける健と呼ばれた小さな男の子



さつきがメロメロなのもわかる



これは俺でも可愛いと思う





「健、この人は友達だから大丈夫だよ。」




男の子に言う言葉に未だ友達だということを思い出させられる


俺の中ではさつきは隣にいて当然の存在なのにな




お母さんに引っ付いてじっと俺を凝視する男の子に「さつきはおれが守る」と約束してさつきの家を出て、並んで高校までの道を歩く



すぐそこにさつきの手はあるのに、手を繋ぐ理由がない今日は触れることもできない




途中コンビニに寄ってバレー部への差し入れにジュースとお菓子を買う。顧問も恐い顔はしているが甘い物が好きなので部員と同じでいいか





事務員室で書く訪問者記録表を書こうとするとすぐ上に大也の名前を見つけた


杏さんも一緒に来ているならさつきの心を動かす何か力をお借りしたいものだ





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