ヒトツバタゴ


「遅かったな」


先に食べていた3人は間もなく食べ終えるといったところ


「ああ、急ぎの依頼入って急遽そっちにも顔出して来たんだ。さつき、忙しいとは思うけど後でメールで送っておくから受注処理お願い」


「受注書貰ってきてるならこっちで入力するわよ」


私より橘の方がよっぽど忙しいんだからもっと頼ってくれればいいのに…橘は自分から丸投げしてくることはしない



「サンキュ助かる。」


急いで食べ始める橘



社内の2大イケメンが揃い完全に固まってしまった吉倉さんを「コーヒーでも飲みましょっか」と誘い席を立つ



ビュッフェの端にあるドリンクコーナーで4人分のコーヒーをカップに注ぐ


「そんなに緊張しなくても…」と苦笑すると吉倉さんは深呼吸を1度して


「河本さんあのお2人といつも一緒にいて緊張しないなんて、さすが美人さんは違いますね」


とまじまじと見つめられなんだかこっちが照れる


「あの2人とは高校の時から一緒だから今更緊張もないわよね」


ふふっと笑って見せた


けど、本当は毎朝の電車での橘との距離には未だ慣れない


今朝だって煩い心臓の音が橘に聞こえるんじゃないかって思ったくらい



< 92 / 178 >

この作品をシェア

pagetop