ヒトツバタゴ
二つ先のこの辺では大きな駅で電車を降りる
駅に直結している大きなデパートに入りエレベーターへ乗り込み橘が押した8階のボタン
まさか
私が行きたかったけど、チケットが取れず諦めていたそこは橘は絶対に興味がない場所
「橘…8階って…」
振り返り不敵な笑みを見せる橘はジャケットの内ポケットから私が喉から手が出るほど欲しくてたまらなかったチケットを2枚取り出し見せた
「取引先の人から行けなくなったからって貰ったんだ」
手渡されたチケットをまじまじと見つめる
間違いなく私が行きたかった美少女戦士ものの原点となる作品の展示会のチケット
今日が最終日
心の中で猛烈に感動しているとエレベーターは8階に着き、橘に促され降りるとすぐ目の前に現れた展示会の入口
「ありがとう」
受付でチケットを出す手前で振り返りお礼を言うと優しく微笑む橘の顔を見ていられなくて、顔を背け足早に受付を抜ける