【完】恋愛事情
「お前、まだ言われたことないんだろ?あいつから…」
「あー…好きやって?…なんや、吉原、そないに気になるん?」
「まぁ、一応な。あいつは俺の幼馴染だし。…で?どうなんだよ?」
「…言われてへんよ。でも、そんなん大したことやないで?第一、オレはそないなこと望んでへんしな…」
裕の声を聞き間違えるわけがないのに、あたしは自分の耳を疑った。
溜息交じりに裕が言った言葉は、どうしても信じ難いもので。
あたしは、その場から逃げ出そうとするのに、足が全然言う事を聞いてくれず、そのまましゃがみ込んでしまった。