【完】恋愛事情
あの後、何処をどう歩いてきたのか分からないけど。
気付いたら、何事もなかったように、図書室へ戻っていて。
…そして、何事もなかったかのように、裕を待つ体勢を作ってた。
かちん、かちん、かち…。
ばかみたいに遠い目をしながら、混乱しているのを誤魔化す為に、勢い良く出したシャーペンの芯を、無闇に弄んで。
その少し大袈裟な音を聞きながら、震える手をなんとか治めていく。
それから、込み上げてくる涙を捻じ伏せて。
今にも崩れ落ちそうな自分を精一杯押し殺した。