空の色をおしえて



「前から思ってたんだけど、美咲ってさー、結局どっちが好きなの?」


「えっ、ど、どっちって?」


「菅波兄弟!2人共仲は良さそうだけど、どっちとも付き合ってはいないんでしょ?」



綾乃の声が大きいからか、気がつけば周りにいた女子たちも数人集まってきている。

彼女たちは興味津々で机を取り囲み、輪になってしまった。

どうして恋の話になると女の子ってこんなに水を得た魚のように生き生きとするのだろう。


今まで誰とも恋ばななんてしたことなかったわたしには、遠いところにしか存在しない世界だと思っていた。

まさか自分の身にそんな事態が発生するとは考えてもみなかったから、正直うろたえる以外何も出来ない。


「鈴原さん!あたしたちもずっと気になってたの!どうなのどうなの??」


その場にいる女子全員の視線が痛いほどにつき刺さる。

「その……、か、彼らとは、小さい頃から知っている仲で……好きとかそういうんじゃないといいますか……」

「えー、うそだー!あんなカッコイイ人と一緒にいたら絶対好きになるよ普通!」


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