空の色をおしえて


屋上へ続く階段をかけ上がり、勢いよく扉を開ける。

フェンス以外何もない、だだっ広いだけの空間に、仰向けの人影があった。

さらさらとした長めの黒髪が春風に揺れている様子が、ここからでも見てとれる。

ひらひらと迷い込んだ桜の花びらがピンク色に透けて、彼の上に舞い降りた。





きれい────




……いや、今は見とれている場合ではない。

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