空の色をおしえて
「分かってるって。てか、美咲お前最近昼休みも美術室こもってんの?」
「仕方ないでしょ。展覧会に向けて頑張らないといけないのに、考えすぎちゃって迷走中なの。誰かさんのお陰で今日は行けないけどね」
「そいつはどうもすみませんねぇ……いつだったかお前さ、校庭でオレンジ色のきらきらしたやつ描いてたじゃん。あんな感じのじゃ駄目なの?」
驚いた……あれを覚えてるんだ。
それはわたしが1年生の頃に制作した水彩画のことである。
文化祭の美術部のポスターに起用された、思い入れのある作品だった。
秋人の記憶力は、時々侮れない。