空の色をおしえて

不思議なことに、肩にのし掛かった重たい何かが急に軽くなったような、あるいは目の前の霧が一気に晴れたような、そんな感覚になった。

いつだって肩肘を張りすぎるわたしにとって、彩花さんのような風のように柔らかい人は、心を溶かす存在なのかもしれない。


秋人のもつ空気ととても似ている。
わたしには無い、溢れる魅力。


「彩花さん、ありがとう。もしかしたら前に進めそうかもしれない」


おいしそうにワッフルを頬張りながら微笑む彩花さんの笑顔を、もう、まっすぐと見ることが出来た。

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