空の色をおしえて
生きているということは、ただ息をしているということではなく、生命力に満ち溢れていることだと思う。
夢に向かって全力で走っている、秋人や隼人君。
恋に夢中になっている綾乃だってそうだ。
みんなみんなキラキラと輝いている。
わたしももう、卑屈になんてならない。
ちゃんとまわりに目を向けながら、全力で走り続ける。
それが『生』なんだと思う。
『死』は、それの対極。
例え体は生きていても、すべてに対して諦めてしまっているような、そんな感覚。
目標もなく生きていても、輝くことなんて出来ない。
わたしにとっては、死んでいるのと同じだ。
そんな思いを、色の持つ力だけで表現したい。
彩花さんの絵画『Deep blue』がとても深い青でわたしを惹き付けたように。
わたしも今出せるすべての力を注ぎ込む。
心の内をすべてぶつけるかの如く荒々しく、そして大切な人を慈しむように繊細に、渾身の1枚を作り上げた。
そうして何とか展覧会の締め切りギリギリに提出を果たすことが出来た。
よくよく考えてみたら、描いている途中、結果のことがすっぽり頭から抜けていたように思う。
あれほどこだわっていたのに、もはやそれを気にする余裕などないほど、わたしは頑張ったのだ。
どんな結果になろうとも、悔いが残ることだけはないだろうと思った。