空の色をおしえて



聞いてはいけない。
本能がそう知らせている。

耳にぴったりとつけられた携帯電話を、少し浮かせた。

声が、出ない。







「兄さんが……」




ドクンッ、ドクンッ、ドクンッ……
心臓の音はもう、時計の秒針が追いつけないほど速く波打っている。


駄目……言わないで!!






 






「兄さんが……事故に……手遅れで……」








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