空の色をおしえて


力の入らない重たい体を無理矢理起こし、財布だけ握りしめて部屋を出た。
そうしようと頭で考えた行動ではない。

このカラカラに乾いた心と体が、自分の1番行きたい場所を知っている。


足音を緩めてリビングの扉の前に立った。
中から、母さんが夕飯を作る気配がする。


ごめんね……


そのまま廊下を通り抜け、そっと玄関の外へと出た。

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