空の色をおしえて



夏の夜の匂い。
忘れたい、忘れたくない思いを、彷彿とさせられる。

秋人が好きだった夏。
初めて思いを重ねた夏。

もう、戻りたいなんて言わない。
わたしから、会いに行く。



何かに突き動かされるかのように、無我夢中で歩いた。

家着のままサンダルを履き、髪の毛を振り乱して歩くその姿は、端から見たらさぞ狂気に満ちていることだろう。

でもそんなことは、どうでもいい。




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