空の色をおしえて


「美咲ちゃんのスケッチブック、見ちゃったんだ」


それは、思ってもみない言葉だった。
あのスケッチブックは、秋人と一緒に灰になったはず。

「あれに描かれた空と海は、幼い頃に遊んだ、この思い出の場所でしょ。洞窟の先まで来たのは初めてだけど、同じ海岸だなってすぐ分かったよ」 


「美咲ちゃんのお母さんから、美咲ちゃんがいなくなったって連絡がきた時、直感的にこの場所にいると思ったんだ」



打ち寄せる波の水飛沫がわたしの顔にかかり、隼人君は抱き締める腕の力をいっそう強くした。



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