空の色をおしえて


「兄さんの棺桶に入れられていたスケッチブック。見ちゃってごめん……」


そっか……あれを、見たんだね。
開くのが辛くて、持っていたくなくて、秋人と一緒に旅立たせたんだ。



「僕は醜い……もういない相手にまで嫉妬して……美咲ちゃんと兄さんの大切な思い出を覗くようなことをしたんだ」



隼人君の乱れていく心を現しているかのように、波は高く、荒ぶっていく。


「僕は、美咲ちゃんと兄さんがお互いに好きなように感じていたから……だから2人を祝福しようとしたこともあったんだ」


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