空の色をおしえて



「美咲ちゃんから兄さんを奪ったのは僕だ。その罪を僕に、背負わせてくれないかな……」



隼人君のせいだなんて、少しも思っていない。

この切なくなるほど繊細で優しい人は、ずっと誰にも言えず独り苦しんできたのだ。


つらい……
どんなにつらい3年間だっただろう。

わたしのことを気にかけてくれていたけれど、きっとわたしよりももっと苦しかったに違いない。


ああ、
この人は本当に秋人と同じ細胞を分け合った人なんだね。


あの強く揺るがない炎のような、優しい風のような、
そして清らかな水の流れのような空気を纏っているのは、秋人だけではなかったんだ。

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