空の色をおしえて


プルルル……プルルル……




携帯電話を耳に当てながら引き戸を開けてベランダに出る。

夏が近づくにつれて、夜は暖かく過ごしやすい気温になってきた。

一筋の白い月明かりが、プランターの花を優しく照らしている。



出ない……かぁ。

もう夜中だし、寝てるよね。



今日はあれから一日中、綾乃に言われたことが頭から離れなかった。

家に帰ってからもうだうだと考えていたら、いつの間にかこんな時間になってしまった。

綾乃に言われたからこうするわけじゃない。
今までもずっと心の中で考えていた、変えることの出来ないわたしたちの結末。

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