空の色をおしえて
駅から距離があるこのお店にとって、夕方以降客足が途絶えることは日常だった。
そのお陰で早めに帰宅出来るのは、このお店で働く唯一の利点だ。
ドアに下げられた『営業中』の看板を裏返してわたしは呟く。
「そういうんじゃないんですよ……」
適当に丸めたエプロンを藤のかごに放り込み、不自然に見えないくらいに微笑んだ。
「ふーん、そうなのかなぁ」と、
まだ納得出来ないような顔をした店長を横目に外に出た。