空の色をおしえて
入学して間も無くすると、校内の掲示板に新入部員を募集する部活が張り出された。
わたしは迷うことなく美術部を選んだ。
中学校には美術部がなく、ひたすら1人で絵を描く毎日だったため、高校では絶対にこの部に入ると決めていた。
「あたしはテニス部かなー。スポーツなら何でもいいけど、かわいいスコート着てみたいもんね!」
「綾乃かわいいから、きっと似合うよ。ユニフォームもらったら、着てみせてね」
「かわいいだなんて、そんなそんな~照れるじゃないか~」
なんて他愛もない会話をしながら、1年生の教室が並ぶ廊下を歩く。
秋人は確か、ここのクラスだったかな。
通り過ぎる瞬間、半分ほど開かれたドアの隙間から、然り気無く中を覗く。
いない……かな。