ホタル


しばらく歩くと、右側に石の鳥居が見えてくる。


車が来ていないのを確認して道路を渡る。



石の鳥居の上には、幾つか小石が乗っている。


乗せることが出来ればいい事があるとかなんとか…


まぁ、良い子はマネしないでね。



真ん中を通らないように鳥居をくぐり、石段を登る。


大きさがバラバラで、コケが生えていたり、隙間から雑草が生えたりしている。


転ばないように気をつけながらも一段飛ばしで駆け上がる。




境内というには少し狭いが、木漏れ日が差していて涼しい。


みんなが想像するような神社とは少し違うかもしれない。


お社となる建物はガラス障子で囲まれていて中が見えるのだが




…何も無い。




御神体のようなものも見当たらない…気がする。



お賽銭箱は貯金箱くらいの小さな木箱。


手水舎の代わりに蛇口と石造りの水受け、柄杓が一本。



神社というには簡素なつくりだが、どこか神聖な雰囲気が漂っている。



私はお社の前で手を合わせ、目を閉じる。





……




数秒後、目を開けて手を下ろす。



よし。



私はお社の裏へと進む。



かろうじて道と呼べるところを進むと、小さな川が見えてくる。




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