ホタル
…あれ、そういえば今日から屋台とか出るんじゃなかったっけ?
雨ですっかり忘れていたが、確かに今日から盆祭りが始まるはずだ。
おじいちゃんが間違えたかな?
ドドドドドドドド……
一縷くんに会うどころか家まで帰れるか、だんだん心配になってきた。
「……早く止まないかな…」
「ほんとにね…」
「…っ!!」
私はバッと振り返った。
「…あーびっくりしたー…ふふっ…一縷くんだったの?」
「ごめん、来るのが遅かったから…」
「いや、こちらこそごめんね。こんな雨だし…これ以上濡れたくなくて…」
私は乾きかけのTシャツに目を落とす。
…と同時に一気に顔に熱が集まった。
シャツ透けてんじゃん…