ホタル



もう一人の私が叫ぶ


何かおかしいよ、と








「ねぇ、一縷くん…



カサ持ってないのに濡れてないの?」






「……あーあ……


やっぱり気づいちゃうよね…」




クスクスと不気味に笑い始める。




「一…縷……くん…?」




「クスクス…


あぁ、ごめんね……奏ちゃんがすごく


怯えた顔してるから…クスクス」


















「クスクス……はぁー…」




急にピタリと笑うのをやめて、

無表情になる。





「奏ちゃん……」







赤く、赤く、紅く…




濃い色に染まる










一縷くんの瞳











「奏ちゃん…」








ジュル……








「食べても、いい?」







首筋に、牙が……







< 23 / 35 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop