ホタル
もう一人の私が叫ぶ
何かおかしいよ、と
「ねぇ、一縷くん…
カサ持ってないのに濡れてないの?」
「……あーあ……
やっぱり気づいちゃうよね…」
クスクスと不気味に笑い始める。
「一…縷……くん…?」
「クスクス…
あぁ、ごめんね……奏ちゃんがすごく
怯えた顔してるから…クスクス」
「クスクス……はぁー…」
急にピタリと笑うのをやめて、
無表情になる。
「奏ちゃん……」
赤く、赤く、紅く…
濃い色に染まる
一縷くんの瞳
「奏ちゃん…」
ジュル……
「食べても、いい?」
首筋に、牙が……