ホタル
8月16日
翌日。
最後くらい、綺麗だと言ってほしくて、タンスから浴衣を引っ張り出した。
途中までは真依ちゃんと一緒に祭りに行くことになったので、お互いを着付けている。
「え、真依ちゃん胸大き…」「やだーもー何言ってんの!」
バシッと勢い良く背中を叩かれて、思わず咽せる。
ほんとに怪力なんだから…
「ねぇ、奏ちゃん……これどう?」
真依ちゃんが私に見せたのは、花をモチーフにした髪飾りだった。
「うん、真依ちゃんの髪に映えると思うよ。かわいい。」
「いやいや、違うしぃー」
笑いながら、真依ちゃんは私の髪にそれを付ける。
「うんうん。私の目に狂いは無かったね!」
「……ふふっ…ありがとう。」
「どういたしまして!
んじゃ、行きますかぁー」
今日は祭りがあるからか、いつもより人が多い。
境内に続く階段にも人がちらほら。
線香花火をしている人もいる。
「じゃあ、私は金魚すくいとかしてるから!奏ちゃんの用事が済んだら声かけてね!」
「わかった!ありがとう!」
真依ちゃんは、こちらに大きく手を振ってから、金魚すくいの屋台めがけて走っていった。
さすが、切り替えはやいなぁ…