緋女 ~後編~
プロローグ



レヴィはここのところずっと楽しそうだ。



そして悔しいけど、僕も少なからず前より楽しい。そしてそれ以上に苦しい。

その理由はほぼ分かってるんだけど、それに名をつけるつもりはない。


週末に近づくにつれて、レヴィは元気になっていった。それに比例するように僕の笑顔が少し強ばった。


その理由にやはり名前はつけれないけれど。


でも、そんな浮わついた日常の中でも現実を忘れることはなかった。


僕が何者であって、なんのためにレヴィに近づいたのか。


レヴィに会った日、僕はたまたま教室の前で入るか入るまいか悩んでいたレヴィの前を通りかかったのではない。


意図的に僕はレヴィの前を通りかかり、声をかけた。


その目的を忘れた訳ではない。



今日、レヴィは城へ一旦帰る。迎えには噂の彼が来るという。


本当はレヴィについていきたい。


だが、僕は今回のところは学校には残るべきだろう。
レヴィが図書室に僕を置いていってしまった日、可愛らしい顔をして僕を足止めした妖精のことも気になる。


レヴィに探りを入れてみたら、レヴィも会ったというが正体は不明だ。

ただ、レヴィが図書室に行くことにしたのも、彼女の言葉があったかららしい。


全く、余計なことをしてくれたものだ。



レン先生も、僕もあの図書室には手出し出来ないというのに。



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