【完】恋のおまじないNo.2
入口に立っているあたしに気付いたのか、女の子たちがあたしを一斉に見る。



「やば…宇佐美さんなんの用?今の先生にバラさないでよ?」



「そうじゃないの…」



女の子のうち1人に軽く睨まれ、少し足がすくむ。



「あの、リサちゃんこれ…」



「え、ジャージ?あたしに?ゆめちゃんのだよね」



きょとんとして、リサちゃんが立ち上がる。



「職員室で借りてきたの。Lサイズでいいかな」



「そうなの!?ありが…」



「ちょっと、勝手なことしないでよ。リサはあたしたちとここにいるんだから」



リサちゃんの隣にいた子があたしの肩をドンと押した勢いで、手からジャージが下に落ちてしまった。



「余計なことしちゃったかな…あたしはただ、リサちゃんが困ってたらと思っただけなの。よかったら使って」



拾いあげ、リサちゃんに渡そうとすると女の子に払われた。



「ウザい」



再び床に落ちるジャージを見つめたまま、リサちゃんは何も言わない。



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