【完】恋のおまじないNo.2
その場に崩れている。



大きな勘違いだよね、それに……そんなお願い、クラスの女子に直接するとかどういう心境なの!?



「桃ちゃん、ごめん……」



「やだ……やだやだ」



メンバーに推薦されたのが嫌なのか、この状況にただ耐えられないだけなのか。



桃ちゃんは頭を抱えている。



「俺……もー無理。なんか、ずっと焦れったくて……」



「そんなこと言われても……」



「もう、腹くくって。俺と、付き合お」



桃ちゃんの顔、真っ赤だ……。



そうだよ、ずっと逃げてちゃだめだよ。



紫藤くんは桃ちゃんのこと、待っててくれたんだね。



けど、もう痺れを切らしたと。



周りがはやし立てている。



こんなの、桃ちゃんが余計動揺するよね。



「お願いします。あんまり騒がないで欲しいの。どうかふたりを見守ってください」



あたしがお願いすると、紫藤くんもクラスのメンバーに合図をしている。



途端にみんなが静かになった。



「紫藤くん、ここからはあっちでどうぞ」



背中を押すと、桃ちゃんの腕を引いて教室を出て行った。



「ふうーっ……」



ため息をついていると、あたしの前に誰かが立った。



< 241 / 282 >

この作品をシェア

pagetop