【短編】生け贄と愛
バッサリと、茜が斬られた。
しかし血も無かった。
ただただ花弁が舞っているだけだった。
「ロゼ、さん…」
儚げな神が、ロゼに話しかける。
ぴくりとロゼの腕が動いた。
「最初から、幸せに出来なくて、ごめんなさい」
「え……?」
「私が治める世界で…幸せになる人が増えれば良い。私はそう思っている」
「それは、神としての言葉か?」
シルヴェスタが真面目な顔で尋ねた。
神がゆっくりと頷く。
「貴方たちが幸せに生きられる世界を、造っていくから」
どうか。
そう言い残して、神がロゼとシルヴェスタに手をかざした。
暖かな光に包まれ、二人は意識を失った。