【短編】生け贄と愛
◇*◇*◇*◇*◇◇*◇*◇*◇*◇*◇*◇
晴れ渡る空。
豊かな大地に鐘の音が鳴り響く。
丘の上に立つ教会から、男女が出てきた。
真っ白なドレスに、美しいヴェールを被った花嫁。
真っ白なタキシードに身を包んだ花婿。
どちらも容姿が美しく、衣装に負けないくらいに美しい笑顔を浮かべていた。
「ロゼ」
シルヴェスタが腕の中のロゼに囁く。
くすぐったそうに身を捩るロゼ。
「愛してる」
優しさに溢れたアメジストの目を見つめ、ロゼは唇から言葉を紡ぐ。
「私も、シルヴェスタ。愛してる」
そういって伸び上がり、愛しい彼に口づける。
少し驚いた彼だったが、それは深いものに変わった。
幸せな、幸せな。
二人だけの結婚式。
彼と彼女が認められる道は長い。
しかし遠すぎることは無いだろう。
それが苦痛に思えることも無いだろう。
同じように長い寿命の生き物になった彼等は、末長く共に歩んでいくだろう。
アカネと言う名の友の名を心の片隅に。
彼女が亡くなったことを誰も知らない。
心の片隅にある名前を大切だと知っていながら、彼等は正体を知らない。
それでも彼等は幸せだ。
「もう一生、離さない」
唇の上で囁かれた言葉に、紅薔薇の君は美しい笑顔を浮かべるのだった。
晴れ渡る空。
豊かな大地に鐘の音が鳴り響く。
丘の上に立つ教会から、男女が出てきた。
真っ白なドレスに、美しいヴェールを被った花嫁。
真っ白なタキシードに身を包んだ花婿。
どちらも容姿が美しく、衣装に負けないくらいに美しい笑顔を浮かべていた。
「ロゼ」
シルヴェスタが腕の中のロゼに囁く。
くすぐったそうに身を捩るロゼ。
「愛してる」
優しさに溢れたアメジストの目を見つめ、ロゼは唇から言葉を紡ぐ。
「私も、シルヴェスタ。愛してる」
そういって伸び上がり、愛しい彼に口づける。
少し驚いた彼だったが、それは深いものに変わった。
幸せな、幸せな。
二人だけの結婚式。
彼と彼女が認められる道は長い。
しかし遠すぎることは無いだろう。
それが苦痛に思えることも無いだろう。
同じように長い寿命の生き物になった彼等は、末長く共に歩んでいくだろう。
アカネと言う名の友の名を心の片隅に。
彼女が亡くなったことを誰も知らない。
心の片隅にある名前を大切だと知っていながら、彼等は正体を知らない。
それでも彼等は幸せだ。
「もう一生、離さない」
唇の上で囁かれた言葉に、紅薔薇の君は美しい笑顔を浮かべるのだった。