明日、君を好きになる
いけない…今日は沙也加にとって、一番最高の一日にしてあげなきゃいけないというのに。

…今まで、人と比べて自分がどうだとか、考えたことなどなかったはずなのに、今日はなぜか、沙也加が眩しすぎて、羨ましくさえ感じてしまう。

彼女の持つ強さや美しさが、一人で成り立つものじゃないこと。

その源が、誰かに守られ深く愛されていることなのだということを、目の前で見せられた気がした。

気が、弱くなっているのだろうか…。

とはいえ、この年齢(とし)で、今から新しいことへのチャレンジすることに、不安に思わない方がおかしい。

心のどこかで、沙也加にとっての藤川君のように、誰かに深く愛され支えてもらえたら…なんて、ほんの少しでも考えたりしている自分に驚く。

こんなの甘えもいいところだ。

そもそも、らしくない…。

いつからこんな弱い自分になってしまったのだろう?

そうして、ともすれば、すぐにでも頭の中に浮かぶその人物を、必死に追い払う。
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