明日、君を好きになる
藤川君と沙也加の披露宴は、同ホテルの会場で行われ、挙式の荘厳な感じとは対照的に二人の”人となり”が分かるような、和やかで楽しい式典になった。

かくゆう私達3人も、大学時代の友人として、スピーチと歌のプレゼント。

歌は、その辺のプロより歌唱力がある千春が定番のウエディングソングを熱唱し、沙也加はもちろん、列席者の多くを感涙させてしまうという偉業を成した。

最後は、たくさんの人からの祝福を受け、沙也加以上に号泣して挨拶もままならない藤川君が、皆に心配されながらも宴は無事終了。

そして披露宴後の2次会はホテルの近くにあるレストランで行われ、3次会は大学の友人だけで実施。

その次…となると、時刻はもう22時を軽く超え、主役の二人は抜きで地元の駅に戻り、駅近の居酒屋で単なる大学の同窓会となる。

この頃には地元に戻った安心感と、懐かしい旧友との飾らない飲みの席でいつも以上にお酒の量が進み、気が付けば子供のいる朋美は早々に帰り、千春も自宅で飼っているシロフクロウが心配だとかで、いつの間にかいなくなっていた。

結局、残ったのは、自宅がこの近くだという、ゼミ仲間だった、”悟”だけだった。

…時刻は0時を過ぎ、このままだと終電に、間に合いそうにない。
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