明日、君を好きになる
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『外、寒かったですか?』

店内に戻ると、咲ちゃんが声をかけてくる。

『ううん、風は少し冷たいけど、気持ちいいくらいかな』
『それなら、テラス席のブランケットの追加は、まだ良さそうですね』
『そうね、もう少し夕方になってからでも、大丈夫かも』

最近は、店内のインテリアや備品などの管理も任されている咲ちゃんは、気配りにも余念がなく、ますます渚ちゃんに似てきた。

『それ、新しいブランケット?』

彼女の手にある、赤と白のチェック柄のブランケットを見て聞くと、咲ちゃんが返事をする前に、後ろから渚ちゃんが答えてくれた。

『良いでしょ、それ。咲ちゃんが探してきてくれたのよ』
『うん、凄くいい。この時期にも、ピッタリだね』
『ありがとうございます』

渚ちゃんと私に褒められ、照れくさそうに笑う。

『ねぇエリィ、咲ちゃん、最近”女子力”グッと上がったと思わない?』
『渚さん!』
『実は咲ちゃん、彼氏できたのよね~』
『え、そうなの?』

思わず真っ赤になる咲ちゃん。

なんだか、初々しくて可愛い。

言われてみれば、元々美しい顔立ちだったけれど、最近の彼女はいつにも増して綺麗になった気がしていた。

『そっか、それはおめでとうだね』
『カフェに連れてくれば良いのに、なかなか会わせてくれないのよ』
『ダメです!渚さんに会ったら、彼、絶対一目惚れしちゃいます』
『やだ、咲ちゃんったら、こんなオバサンに、一目惚れなんてするわけないじゃない』

可笑しそうに笑う渚ちゃんに、咲ちゃんが必死に抵抗してる。

私には、咲ちゃんが本心で言っているのだと分かる。

そもそも、彼女自身が、渚ちゃんに一目惚れした口なのだから。
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