明日、君を好きになる
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午後6時。

すっかり暗くなった歩道を、駅まで真っすぐ進む。

街並みがオフィス街から駅前に移ってくると、控えめなイルミネーションが、そこここにチラホラ。

空気が澄んできたこの時期から始まる、季節の風物詩。

それは折しも寒さが厳しくなり、つい下を向いてしまいがちな人々の視線を、上へと持ち上げる。

来月の本番には、眩しいほどのそれで街中が埋め尽くされ、この時間帯も、昼間のように明るくなるのだろう。

バスのロータリーを過ぎ、駅ビルに入る手前で、ふと目に留まるポスター。

『第4回 婚活パーティー ~聖なる夜に愛のプロポーズを~』

煌びやかなクリスマスツリーの前で、見つめ合う男女。

”クリスマス”という絶好のイベントを前に、この手の業界が打ち出しそうなキャッチコピーで、独り者の心をくすぐる。

あの夏の日から3か月。

あの時ここで、婚活パーティに参加していたら、何かが変わっていただろうか?

”―――偶然じゃないから”

不意に、小野崎さんの言葉を思い出す。

彼が、あの日ここに現れたのは、偶然なんかじゃなく、事前に渚ちゃんに聞いてきたと言っていた。

”―――君の婚活のチャンス、奪っちゃったしね”

あの後行った、レストランでのセリフ。

思い出して、フッと笑う。

そうよ。

あの時、引き留められなかったら、私はこのパーティに参加していたかもしれない。

もしかしたら、そのパーティで、運命の相手に出逢えたかもしれないのに。

そう考えて、すぐに否定する。

婚活パーティに行っても、結果は一緒。

あの時既に、小野崎さんが私に興味を示していたように、私だって、彼に惹かれていた。
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