明日、君を好きになる
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時間はゆっくりと…でも確実に動いている、12月も半ば過ぎ。

寒さは一層厳しくなっているにもかかわらず、街中がクリスマス一色に施され、むしろ暖かみさえ感じる季節。

ハワイアンを基調としたこのカフェも、この時期ばかりは夏色を封印。

店内中央には、大きなツリーを飾り、その存在感をアピール。

半屋外のテラス席は、席を囲むようにLEDの優しい光がちりばめられ、いたるところに、センス良くサンタやトナカイが点在してる。





午後3時半を過ぎ、お客様もまばらな時間。

この時期、この時刻になると、辺りはもう薄暗くなってきていて、テラス席のイルミネーションもその光を強く放ち、見る者を楽しませてくれる。

『雪、降りそうですよ、外』

そのテラス席から戻ってきた咲ちゃんが、両腕をさすりながら教えてくれた。

『今日の天気、曇りのち雨だっけ?確かに、この寒さじゃ雪になっちゃうかもね』
『テラス席、もう閉めた方が良いですかね?いくら足元に暖房あるっていっても、お客さん風邪ひいちゃいますもん』
『そうねぇ…オーナー、どうします?』

カウンターの内側にいた渚ちゃんに声をかけるも、その視線は入り口付近に向けられ、返事が返ってこない。

『渚ちゃん?』
『え?ああ、ごめん、テラス席ね。うん、そうだね、閉めちゃって良いと思う。咲ちゃん、悪いけどお願いできる?…あ、寒いから、これ着てね』

そういうと、咲ちゃんは手渡された紺地のカーディガンを羽織って、もう一度テラス席へ向かう。
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