明日、君を好きになる
『何?』
『もう時間か…さぁ、カウントダウンだよ、エリ』

”何の?”と聞くよりも前に、園内の若者の集団が、『10,9,8,7…』と騒ぎ出す。

『…橋を見ててごらん』

小野崎さんの声に誘導され、橋を見上げると、17:00の時報が鳴った瞬間、ベイブリッジのブルーのライトが、一瞬にして赤や緑のクリスマスカラーに変化する。

途端に、そこここで小さく湧き上がる歓声。

『綺麗…』

その美しさに、思わず言葉を失って見入ってしまう。

『メリークリスマス、エリ。…って、散々情けない自分さらけ出しちゃって、今更カッコつかないけど』

そう言いながら、小野崎さんが、照れくさそうに笑う。

不思議なことに、さっきまでの緊張感が薄れている気がした。

『これ、だったんですね?』
『ああ、今日からクリスマスまでの期間限定らしい…ちょっと感動ものだろう?』
『はい、凄く…』
『それに、こんなシチュエーションだったら、その気がなくても、あっさりOKしてくれるかもしれないしね』

ドキリとして、小野崎さんを見ると、もう相応の大人の男の顔に戻って、意地悪な笑みを浮かべてる。

『そんな…雰囲気に流されて返事をするような言い方、やめてください』

ふてくされたようにそう返答すると、今度は探るように私の目を見て、今までにない程真剣な面持ちで問いかける。
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