明日、君を好きになる
…と、そういえば、姿を消していたこの3か月間の話を聞いていないことに気が付いた。

『ところで小野崎さん、この3か月間、一体どうしてたんですか?』
『あ~それか…実はね、仕事探してたんだ』
『えっ!』
『32にして、久しぶりに就活だよ』

驚いて振り返ると、少しだけ抱きしめる手を緩めてくれる。

『どういうことですか??』
『どうって、そのまんまの意味だよ。フリーを辞めて、企業に就職したんだ』
『就職って…』
『中途だし、苦戦するかと思ってたけど、幸い今までの実績が買われて、就職先は思ってたより早く見つかってね。この2カ月は適性検査やら研修やらで忙しくて、先日やっと本採用が決まったんだ』

小野崎さんがサラリと、とんでもない事実を告げる。

『どうして、そんな急に…?』

思わずそう質問するも、その答えに対する明確な答えはなく、その代わりに逆に質問されてしまう。

『そういえば、エリ、君は教師になるんだってね』
『え…あ、そうですけど…』
『俺は、それを全面的にバックアップしようと思ってるんだ』
『バックアップ…?』
『うん、先ずは唐突だけど、俺の住んでるマンションで一緒に住まないか?』
『は?』

いきなり突拍子のない提案が出された。

小野崎さんの様子から、冗談で言ってるわけじゃなさそうだ。
< 163 / 185 >

この作品をシェア

pagetop