明日、君を好きになる
『いや…全く関係ないかって言われたら、きっかけの一つには違いないか…でも、これはずっと考えてたことだから、エリが気に病むことはない。むしろ、渚さんには感謝しないといけないかもしれないな…こんなことでもなければ、踏ん切りもつかなかっただろうし』
『でも、渚ちゃんが私のためについた嘘で、こんなことに…』
『エリ』

柵を背にしていた小野崎さんの手が、私の髪に触れる。

『本当に、後悔などしていない。ずっと、守るものが出来たら、それが自分にとって障害になると思ってきたが、この3か月で実感した…本当は、守るべきものがあった方が、もっと頑張れるってことを』

小野崎さんは私を安心させるように『それに、少し早いだけで、君を支えていくことには、違いないからね』と微笑んだ。

『…なんか、ズルい…』

不意に心の中に芽生えた感情が、口を次いで出てきた。

『ん?』
『小野崎さんだけじゃないですから…私だって…』

髪に触れた手をやんわり払いのけ、小野崎さんの目の前に立ち、彼を見上げる。

『…エリ?』
『恋人になるって…支え合うって、そういうことでしょう?私だけが重荷になるのなんて、絶対嫌です。それに、こんな風に突然いなくなったりして、不安で会えなくて辛かったのは、小野崎さんだけじゃない』

この数カ月間の寂しさ、切なさが、私を後押しする。

『一人で勝手に決めないで欲しい…頼りないかもだけど、私だって支えます!だから、これからは何でも…どんなことでも、話してください』

いつの間にか、見上げている目には、涙が溜まっていた。

頭の中がごちゃ混ぜになって、後半は自分の感情が溢れ出てしまった。
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