明日、君を好きになる
動揺し戸惑い、俺を見つめるその瞳の中に、発せられる言葉とは裏腹の感情が、色濃く見えた。

うるんだ瞳の中に、自分に向けた確かな想いを見つけて、俺は思わず君を抱きしめてしまった。

途端に、君の華奢で柔らかな身体の内側から、俺への想いが溢れ出て、それを受け止めながら、耐えがたい幸福感が押し寄せる。

同時に、この腕に抱く君を、他の誰でもなく自分自身が支えていきたいと願う。

きっと強がりな君は、”そんなものは必要ない”と言いそうだけど、だからこそ俺が守りたいと、強く思った。

覚悟を決めた俺には、もう、迷いはない。

この先君を支えて、共に生きる未来も考えるのならば、安定した保障のある生活が望ましい。

確かに今の生活は順調で、フリーのプログラマーとしても、今や実績や結果を認められて、それなりの収入も充分稼げている。

それでも、あくまでもフリーであることには変わりはなく、いつ仕事がなくなるかもわからない不安定さは、変わらない。

安定を求めるなら、どこかの企業に就いた方がいいに決まってる。

あの時、もしそう君に話したら、君は絶対反対するだろうし、自分のせいで…と思われるのは、少し違う気がした。

このことは、君とは関係ないところで既に考えていたことで、決して、君きっかけではなかった。
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