明日、君を好きになる
強いて言うならば、その発端は、同僚の結婚の報告を受けたあの日。

あの日を境に、一人で自由に生きることより、誰かと共に支え合って生きていくことに憧れ、もしそういう相手が現れたなら、こういう決断も辞さないと、ずっと考えていたんだ。

俺は、しばらくの間、集中して就活に専念する覚悟を決めた。

自らの決心が揺るがないように、翌日にはバーを辞め、君との接点をことごとく切り捨てた。

当然、カフェに行くことも、渚さんに教えていた連絡先も番号を変えて、一切誰とも連絡が取れないようにして、自身を追い込む。

今振り返れば、随分身勝手で、単純且つ浅はかな行動だった。

…後に、このことが君をも苦しめてしまうことになり、渚さんにも叱れてしまうのだが、この時の俺には、そこまでの考えが及ばなかった。

あの夜あえて返事をもらわなかったのも、自分の決心が揺らぐのを防ぐためで、よもや逆に君を縛り付けることになるとは、思いも至らなかった。


ーーーそれから、約3か月間、ほとんど毎日のように会っていた君に、会えない日が続いた。
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