明日、君を好きになる
これもやむ負えないことだろうと、自覚はしていた。

確かに、必死に公務員を目指している人にしたら、私の口にした理由は、最低の発言かもしれない。

『江梨子んとこって、確かご両親も公務員だったよね?』
『うん、弟もね』

ちょうど運ばれてきた、カシスオレンジを受け取ると、乾いたのどを潤すように口にする。

『ご両親は何て?』
『何も…。ただ、父親が「これからどうするんだ?」って一言だけ』
『逆にキツイね…ソレ』

そう。

むしろ、『何考えてるんだ!』って怒鳴られた方が、マシだった。

もしかしたら、それこそ職場で何かあったのでは?と、思われているのかもしれない。

職を失った娘に、無関心を装ってくれているのが、却って辛かった。

『今、生活どうしてるの?』
『まぁ、少しだけど、貯金あるし…一応、今は、従姉妹のお店で働かせてもらってる』
『あ、知ってる。都会のお洒落カフェでしょ!』

前に、一度連れていったことがある朋美は、なぜか羨ましがり、まだ行ったことのない千春に、早速『今度、行ってみよう!』と、誘ってる。

朋美の切り替えの早さは、学生の頃から変わらない。
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