明日、君を好きになる
ところが、小野崎さんは面白そうに笑うだけで、“辞めた理由”については、何も聞いてこない。
誰もが知りたがるそれを聞かれないことが、却って不思議に感じて、つい自然とこちらから『理由…聞かないんですね?』と聞いてしまった。
『理由?』
言ってから、そもそも彼が、興味のない女性のことなど、聞く必要もないことに思い至る。
くだらない質問を返してしまったことに羞恥と反省をしつつ、素の自分からカフェ店員の顔に戻ると『いえ、何でもありません…では失礼します』と笑顔で返し、早々にその場を立ち去ろうとする。
『あぁ、辞めた職が、公務員だからか…』
店内に戻りかけていた背中に、独り言のようにつぶやく声が聞こえた。
その声に足を止め、もう一度彼を振り返ると、小野崎さんが真剣な眼差しで、見つめてる。
『別に良いんじゃないか?辞めた理由なんて。人生一度しか無いんだし、まぁ…君のことだから、きっと何か違うって思ったんだろ?』
予想外のセリフに、思わずその場に留まり、今度は自分の意思とは関係なく、自然に口から、言葉が次いで出てきてしまった。
『…次も…』
『ん?』
『次も決めずに、辞めるなんて、馬鹿…ですよね?』
誰もが知りたがるそれを聞かれないことが、却って不思議に感じて、つい自然とこちらから『理由…聞かないんですね?』と聞いてしまった。
『理由?』
言ってから、そもそも彼が、興味のない女性のことなど、聞く必要もないことに思い至る。
くだらない質問を返してしまったことに羞恥と反省をしつつ、素の自分からカフェ店員の顔に戻ると『いえ、何でもありません…では失礼します』と笑顔で返し、早々にその場を立ち去ろうとする。
『あぁ、辞めた職が、公務員だからか…』
店内に戻りかけていた背中に、独り言のようにつぶやく声が聞こえた。
その声に足を止め、もう一度彼を振り返ると、小野崎さんが真剣な眼差しで、見つめてる。
『別に良いんじゃないか?辞めた理由なんて。人生一度しか無いんだし、まぁ…君のことだから、きっと何か違うって思ったんだろ?』
予想外のセリフに、思わずその場に留まり、今度は自分の意思とは関係なく、自然に口から、言葉が次いで出てきてしまった。
『…次も…』
『ん?』
『次も決めずに、辞めるなんて、馬鹿…ですよね?』