明日、君を好きになる
『好き…とかじゃないよ。ただ、不思議な人だなって、少し気になるだけ』
『不思議?』

興味深々の渚ちゃんに、毎朝の日課となっている彼からの質問の話をすると、意外だったのか、少し驚いた顔をする。

『恭介君の方から、質問ねぇ…』
『質問の内容は、大したことじゃないんだけどね』

先週末にされた、例の質問は敢えて言わずに、小野崎さんから聞かれる単純な質問をいくつか話すと、渚ちゃんは益々面白そうに目を輝かせる。

『それって、恭介君、エリィに興味あるのかもよ?』
『それは…違うと思う』
『あら、何でよ?』
『ああいうお仕事してて、きっと、私みたいな普通の女が珍しいだけな気がするし…っていうか、小野崎さんなら、普通に彼女いるでしょ』
『それは…』

何かを言いかけて、一瞬考え込むと、そのタイミングで休憩室のドアが軽くノックされ『渚さん、お話し中すみません』と、アルバイトの咲ちゃんに声をかけられる。

聞けば、注文していたコーヒー豆が、店頭に届いたとのこと。

渚ちゃんはオーナーの顔に戻ると、業者に裏口に回るようにと、咲ちゃんに伝言を指示して立ち上がる。
< 34 / 185 >

この作品をシェア

pagetop