明日、君を好きになる
目の前の男性も、驚きつつ『あれ?もしかして、わかってない?』というと、黒縁の眼鏡を外し、キチンと整った髪を少しくしゃりと、乱してみせる。

そこに現れたのは、さっきまでのクールな大人男子というより、悪戯好きのさわやか系男子。

『お、小野崎さん!?』
『そ、俺…っていうか、普通分かるでしょ?』
『いや、だって、いつもと雰囲気が…』

結構本気で、痴漢に間違えられたことに凹む小野崎さんを前に、あまりにいつもと様子の違う彼に、ドギマギしてしまう。

『エリだって、いつもと違うけど、俺はすぐわかったよ?』

何故か得意気に言うと、『今日コンタクトじゃないからマジで見えないんだ』と、一旦外した眼鏡をかけ直す。

私はともかく、小野崎さんは外見というより、なんというか、全体的な雰囲気がいつもと大きく違って見えて、まるで別人のよう。

『えっと、本当に、小野崎さん…ですよね?』

思わず再度確認してしまう。

彼はやっぱり『そうだよ』と笑うと、チラリと右腕の時計で時刻を確認して『ところでエリ、昼飯もう食べた?』と聞いてくる。

『いえ、これからですけど』

言ってから、自分がまた馬鹿正直に答えてしまったことに、我ながら呆れた。
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