明日、君を好きになる
小野崎さんは、そんな私の心を知ってか知らないか、嬉しそうに微笑み

『良かった。じゃ、何か食べに行こう。おごるよ』
『え?』
『確か、パスタが好きだって言ってたね?良いお店、リサーチしといたんだ』
『小野崎さん、あの…』
『ちょっと距離あるから、車で移動しよう』
『あの私、行くなんて言ってないですけど…』
『駐車場まで、少し歩くよ?』

そう言うと、『着いてきて』と言わんばかりに、先を歩き出す。

少々強引すぎる小野崎さんの行動に、このまま行って良いものなのか?と、躊躇してしまう。

小野崎さんは、立ち止まったままの私を振り返り、

『エリ?』
『お店の…お店のお客さんと、食事とかって…良いんでしょうか?』

口から出たのは、28歳の大人女子とは思えないほど、可愛くないセリフ。

半分は本当の気持ちだけれど、半分は誘われてホイホイ着いていく軽い女じゃないという、虚勢。

たかがランチに誘っただけで、面倒な女だと思ったに違いない。

“怒ったかな?”と、目の前の小野崎さんを見ると、何故かスマホを取り出し、どこかへ連絡している。
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