明日、君を好きになる
平常心を保ったように見せて、凄いことになってしまったと、動揺しきり。

それじゃなくても、彼が小野崎さんだと分かった瞬間から、絶え間ない小さな振動を内に秘め、内心は全く穏やかではなかった。

『じゃ、行こうか?』

先を促す小野崎さんに、今度は素直に着いて行く。

『エリ、手を繋いでもいいなら、触れるけど?』
『ダメです』
『厳しいね』

一瞬の間も無く拒否した私に、嫌な顔をするどころか、面白そうに笑う小野崎さん。

駐車場に向かう彼の後について歩きながら、男性と二人で食事することさえも、もうどれくらい前だっただろうか?と、振り返る。

少なくとも、フリーターになってからは当然、皆無。

別にこれはデートとかそういうことじゃないし、と自分に言い聞かせる。

気の緩みがちな休日に、突如訪れた思いもよらない出来事に、開きそうになる恋愛モードのスイッチをしっかりオフに固定し、何重にもロックをかけた。
< 43 / 185 >

この作品をシェア

pagetop