明日、君を好きになる
真実と自覚
駅ビルの地下に停めてあった小野崎さんの愛車は、濃紺の国産コンパクトカー。
イメージ的には、もっと女性受けしそうな、高級車かスポーツカーを想像していたので、少し意外だった。
『もっと凄い車だと思った?』
私の心を読んだのか、車のロックを解除しながら、『結構、普通でごめんね』と、笑う。
『いえ…何か、安心しました』
『良かった。エリなら、そう言ってくれると思ったよ』
そう言うと『狭いけど、どうぞ』と、助手席のドアを開けてくれる。
地下に停めてあったからか、車の中は思ったより暑くなく、エンジンをかけてしばらくすると、エアコンから涼しい風が流れて、車内を快適な空間へと誘う。
さっきまで汗ばんでいた服も、逆に、ひんやりと心地よかった。
車は、薄暗い地下から地上に出て、眩しい太陽の下、颯爽と街中を走り抜ける。
チラリと運転席を盗み見ると、毎朝お店に来る常連客とは明らかに違う、大人の男。
この歳まで、男性の運転する車の助手席など、さすがに何度も乗ったことがあるくせに、何故か緊張している自分がいた。
『…案外、緊張するもんだな』
一瞬、自分のことを言われたのかと、びっくりするも、そうではないらしい。
前を向いて運転しながら、片手を口元にやり、照れたようにする仕草は、小野崎さん本人のことを言っているようだった。
『この車に、身内以外の女性を乗せるの、初めてだからさ』
驚きの発言に、思わず『この車、新車なんですか?』と聞くと、『違うよ。むしろ、もうすぐ車検だし』と、苦笑い。
渚ちゃんの言ったことを信じてない訳じゃないけれど、それならば、もう3年も恋人がいないことになる。
イメージ的には、もっと女性受けしそうな、高級車かスポーツカーを想像していたので、少し意外だった。
『もっと凄い車だと思った?』
私の心を読んだのか、車のロックを解除しながら、『結構、普通でごめんね』と、笑う。
『いえ…何か、安心しました』
『良かった。エリなら、そう言ってくれると思ったよ』
そう言うと『狭いけど、どうぞ』と、助手席のドアを開けてくれる。
地下に停めてあったからか、車の中は思ったより暑くなく、エンジンをかけてしばらくすると、エアコンから涼しい風が流れて、車内を快適な空間へと誘う。
さっきまで汗ばんでいた服も、逆に、ひんやりと心地よかった。
車は、薄暗い地下から地上に出て、眩しい太陽の下、颯爽と街中を走り抜ける。
チラリと運転席を盗み見ると、毎朝お店に来る常連客とは明らかに違う、大人の男。
この歳まで、男性の運転する車の助手席など、さすがに何度も乗ったことがあるくせに、何故か緊張している自分がいた。
『…案外、緊張するもんだな』
一瞬、自分のことを言われたのかと、びっくりするも、そうではないらしい。
前を向いて運転しながら、片手を口元にやり、照れたようにする仕草は、小野崎さん本人のことを言っているようだった。
『この車に、身内以外の女性を乗せるの、初めてだからさ』
驚きの発言に、思わず『この車、新車なんですか?』と聞くと、『違うよ。むしろ、もうすぐ車検だし』と、苦笑い。
渚ちゃんの言ったことを信じてない訳じゃないけれど、それならば、もう3年も恋人がいないことになる。