明日、君を好きになる
『小野崎さんは、いつのお式なんですか?』
『ああ、それ?確か来月末…だったかな?参加しないから、日時をよく見なかったな』
『その日、仕事が入ってるとか?』
『いや、特に予定はない』
『…?』
結婚式に誘われるなんて、かなり親しい間柄のはずなのに、参加しないのは、よほどの理由があるのだろうか?
さすがにこれ以上は聞かない方が良い気がして、口を噤む。
信号が青に変わり、歩道を渡る人の波を待ってから、ゆっくり左折する。
『…前の、職場の同僚なんだ』
曲がった先の国道をまっすぐ進みながら、小野崎さんが、唐突に話し出す。
どうやら、さっきのハガキの送り主のことらしかった。
『実は同期だったんだ…二人とも』
『二人?』
『男の方は同じ営業仲間で、今でも酒飲み友達でね、時々会ってる。奥さんになる女性の方は、当時ちょっと…ね』
歯切れの悪い言い方で、濁された。
…ということは、もしかして、
『…元カノだったとか?』
『あ~うん…まぁそんなとこかな』
複雑な表情で、一瞬こちらを見る。
思わぬところで、この前渚ちゃんに聞いたばかりの、”昔の恋人”、の話が出てきた。
しかも、自分の親友と結婚って…どんな気持ちなのだろうか?
やっぱり、ショックなのかもしれない。
式に参加しないのも、彼女に対する気持ちが残っていて…?
聞いてはいけないとわかってるはずなのに、心とは裏腹に、言葉が次いで出てきてしまう。
『…今でも』
『ん?』
『今でも、その彼女が忘れられない…とか?』
小野崎さんの方を見ることはできず、ブランケットの上においたままだった、自分の手元を見ながら聞いてしまうと、一瞬の沈黙ののち、あろうことか突然噴き出す、小野崎さん。
あまりに意外な反応に、自分がした質問が、なんだったかさえ分からなくなる。
『ああ、それ?確か来月末…だったかな?参加しないから、日時をよく見なかったな』
『その日、仕事が入ってるとか?』
『いや、特に予定はない』
『…?』
結婚式に誘われるなんて、かなり親しい間柄のはずなのに、参加しないのは、よほどの理由があるのだろうか?
さすがにこれ以上は聞かない方が良い気がして、口を噤む。
信号が青に変わり、歩道を渡る人の波を待ってから、ゆっくり左折する。
『…前の、職場の同僚なんだ』
曲がった先の国道をまっすぐ進みながら、小野崎さんが、唐突に話し出す。
どうやら、さっきのハガキの送り主のことらしかった。
『実は同期だったんだ…二人とも』
『二人?』
『男の方は同じ営業仲間で、今でも酒飲み友達でね、時々会ってる。奥さんになる女性の方は、当時ちょっと…ね』
歯切れの悪い言い方で、濁された。
…ということは、もしかして、
『…元カノだったとか?』
『あ~うん…まぁそんなとこかな』
複雑な表情で、一瞬こちらを見る。
思わぬところで、この前渚ちゃんに聞いたばかりの、”昔の恋人”、の話が出てきた。
しかも、自分の親友と結婚って…どんな気持ちなのだろうか?
やっぱり、ショックなのかもしれない。
式に参加しないのも、彼女に対する気持ちが残っていて…?
聞いてはいけないとわかってるはずなのに、心とは裏腹に、言葉が次いで出てきてしまう。
『…今でも』
『ん?』
『今でも、その彼女が忘れられない…とか?』
小野崎さんの方を見ることはできず、ブランケットの上においたままだった、自分の手元を見ながら聞いてしまうと、一瞬の沈黙ののち、あろうことか突然噴き出す、小野崎さん。
あまりに意外な反応に、自分がした質問が、なんだったかさえ分からなくなる。