明日、君を好きになる



『エリィが、先生!?良いじゃない!』

カフェの休憩時間に、オーナーの渚ちゃんには、久しぶりに実家に行ったことも兼ねて報告。

『いろいろ迷ったけどね、頑張ってみようかなって…』
『うんうん。叔父さん達も、安心したでしょう?』
『でも、まだ受かった訳じゃないから…』
『エリィなら、絶対、大丈夫よ!』

満面の笑みで、そう断言してくれる。

全く根拠はないのに、彼女の笑顔は、本当にそうなるかもしれないと思わせるほどの力がある。

『それでね、カフェのバイトなんだけど…』
『もちろん、勉強を優先して。お店のことは心配しないで大丈夫、来年からは咲ちゃんもフルで入ってくれるし、問題ないわ』
『うん、ありがと…まぁ、試験って言っても来年度のだし、結局は最低でも後1年半は、お世話になっちゃうんだけどね』
『うちはいつまででもOKよ。それに、エリィがいなくなるのはちょっと寂しいけど、そのうちエリィが、自分の生徒さん連れてきてくれるかもしれないし』
『渚ちゃんってば、どんだけ気が早いのよ』

突拍子もない渚ちゃんの妄想は、私の頬を緩ませる。

こんな時は、超ポジティブ思考の従妹がいてくれて、本当にありがたい。

『それよりエリィ、最近、恭介君とはどうなのよ?』
『どうって?どうもないよ』
『…そっちは、進展なし?』
『進展も何も、小野崎さんとは最初から何でもないって言ったでしょ?』
『エリィ…』
『あッ!そろそろ休憩時間終わりだよ。先にフロア戻りますよ、オーナー』

まだ何か言いたそうな渚ちゃんを置いて、休憩室を出てフロアに向かう。

あれから、小野崎さんとは、嘘ではなく本当に何も無かった。

毎朝のやりとりも、いつも通り変わらず、たまに冗談めかして軽く食事に誘ってきたりするけれど、適当な理由で断れば、それ以上はしつこく誘ってきたりもしない。

結局、小野崎さんにとって、やっぱりその程度だったのだろうと理解して、時々もたげる心の疼きは、ずっと胸の奥に押し込めていた。

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